熱血バカガキの遊び日記

漫画アニメ特撮カードゲーム大好きな男の趣味ブログ。

遊戯王Link AXEL "Gold" 第4話 遊旗vs新海!!

「よぉアリス! おはよぉさん!!」
「おはよ」

 遊旗とアリスは約束をした待ち合わせ場所、相変わらずだね曇り空の地下。

「アリス、服すげー似合ってるな。白くて綺麗で、妖精みたい」
「ばっ……そ、そういうことすぐ言って……!」

 照れるアリスもやはり可愛かった。白いワンピースはシンプルで外さないし、アクセサリーの類いをあまりごちゃごちゃ付けない質素さも、遊旗は好きだった。間違ってもシルバーを巻いたりはしない純朴さが可愛らしかった。いや、シルバーを巻いてる人もそれはそれで遊旗は尊敬しているのだが、今回の話はそれとは別領域の話と言うかなんというか。

「ゆ、遊旗もいつもと違うね。それ、新しいんじゃない?」
「あぁ。今日のために買ったんだけど、どう?」
「ど、どうって……

かっこいいに決まってる。白いシャツは整った顔をさらに際立たせるし、清潔感もバッチリ。ズボンは特に言うことないっていうか、ぶっちゃけ巻いてあるゴールドが超ダサいけど、うん、言うことは特にない。それにしても、やっぱりシャツだと遊旗の細いけどたくましい腕が剥き出しになっててたまらない。あの腕で抱きしめられて愛の言葉なんか囁かれたら……きゃっ! 私、自分を抑えられないかもっ!」
「抑えなくてもいいんじゃない?俺はアリスになら何されたっていいぜ」
「もう、そういうこと言って……って、えぇー!? ここまで全部セリフだったの!?」

 アリスはバカだった。

「抱きしめからの愛の言葉だろ?ばっちりだぜ! よーし」
「ちょっ、ちょっと、ちょっと待って……そんなことされたら……困るっていうか……幸せすぎるっていうか……好きぃ」
「なに言ってんだお前。よし、抱くぞ」
「だ、抱くって、そ、そそそそそんな、そんなことされたら……妊娠するっ!!!」
「マジで!? 」
「んなわけあるか!」
「誰だてめぇ!?」
「俺だ!!」

 それは天新海だった。新海に気づくと遊旗はヘコヘコしだした。

「新海社長、おはようございます! 今日は良い天気で、絶好のデュエル日和ですね!」
「デュエル日和?俺にかかれば年中デュエル日和さ! ワハハハハ!!」
「すげー、さっすが社長、 日本一!! まぁここが日本なのかどうかはさておき!」
「アーッハッハッハァ!!」

 こんな媚を売る遊旗は見たくなかった。そうアリスは思った。媚を売れているかは疑問だが。せっかくなので、新海に挨拶してみることにした。

「新海さん、はじめまして。夢国アリスです。遊旗がお世話になってます」
オベリスクブルー昇格おめでとう」
「え?」
「俺は一応アカデミアの理事長なのでな。その辺の最低限のあれは把握している。まぁそれ以上は知らんし興味もないのだが」

 知らなかった。入学式でも何でも、この人の姿を学園内で見たことは一度もない。
 しかしここで思い出した。この天新海が率いるリバースコーポレーションはこの街の支配者。この街を作った男であり同社の初代社長である天臨海は、この街のあらゆる機関や会社になんらかの接点を持っていた。とは言っても彼はそれらの機関および会社について大きな動きを見せることはなかったし、それは次期社長である新海に引き継がれた後も同様だった。だから新海がアカデミア経営に関わっていたことも。あまり広くは知られていなかったのである。
 当然ながら、新海はセキュリティーや治安維持局とのコネクトも持っていた。いや、それはもはやコネクトといううよりパワーと表現するべきか。新海はセキュリティー内での発言権の取得にいやに熱心だった。その甲斐あって彼はもはや治安維持局長官に匹敵する決定権と権力を持ち合わせていた。遊旗が新海に媚びているのはそのためである。

「君は期待大らしい。この街に生きる者ならデュエルが全てというのは当然のことだが、君のデュエルへのテンションの高さはその中でも群を抜いておりそれが高く評価されているようだ。この評価基準には俺も賛同だ。デュエルにおいて重要なのは将来性と熱意であり今の強さなんざ二の次だからな」
「二の次、ですか?」
「そうだ。デュエルの強さはカードプールの変遷で簡単に変わる。強さなど刹那的な基準ということだ。ならば決闘者の価値とは強さを保ち伸ばしていく、長期的なテンションの高さ、ということになると思わないか?」
「たしかに、その通りだと思います。でも」

 アリスは一瞬うつむき、遊旗を見やる。そして次の瞬間。

「今強くないと、守れないものもあります。決闘者の価値とは、守るべきものを守れる強さがあること。私はそう思います」

 その目には、炎が燃えていた。それは決意。新海はキョトンとするが、すぐに悪役面に戻り、不敵に笑う。

「……ふん。まぁそれはさておき、遊旗ぃ!!」
「へい!」
「デュエルを始める! 気の毒だがデートは終わりだざまーみろ!」
「ならお前を速攻で倒して続きをやるまでだ。とっととおっぱじめようぜ、新海!!」

 遊旗の新海への呼び方の統一されてなさが気になりつつも、アリスはふたりについていく。そして、ふたりは観衆が見守る中、ステージの上にいた。新海のスピーチが始まる。

「レディース、エーンド、ジェントルマン! 決闘者諸君、 今日はお集りいただきありがとう。本日はペンデュラムシステムの落成式を行う。その内容は、俺とこのハゲのデュエルだ!」
「誰がハゲだ!」

 とはいえ、描写が足りていなかったため、遊旗がハゲと思われても仕方がない状態ではあった。なのでここに断言しよう──遊旗はハゲではない──ということを。

「アリス! 貴様には解説と審判をやってもらう」
「な、なんでですか!?」
「デュエル開始の宣言をしろアリスぅ!!」
「は、はいっ! では、デュエルスタートぉー」

 運命に導かれた宿命のデュエル。その幕が開く。

「デュエル!!」

 この闘いの行方はいかに!次回へ続

「かない! 俺の先攻、サファイアドラゴンを召喚! これでターンエンド」
「俺のターン、モンスターを守備表示! カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 ここで、観客席の子どもから声が上がる。

「えー、なんで社長は守備表示なのー?チキン野郎なのー?」
「なんだと……!」

 新海は目を血走らせる。本気で怒っているようだった。そんな彼に若干引きながらも、アリスは解説役としてフォローを入れる。

「そ、そんなことないよ。守備表示で相手の攻撃を受け流すのも立派な戦術なの。新海さんが守備力1900以上のモンスターを伏せてれば攻撃を凌げるし、1900より上なら遊旗に反撃のダメージを与えることだって」
「俺の戦術をばらすなバカ!!」
「え!?」
「アリス、今は俺と新海のデュエル中だ。黙っててくれ」
「え、えぇー!?」

 解説役の定義定まらぬまま、デュエルは続く。

「『アレキサンドライドラゴン』召喚! そしてバトル!」
「攻撃力2000。さぁ、かかってくるがいい!俺の守備モンスターが返り討ちにしてくれる!」
「ふっ、俺には分かっているぜ。あんたのさっきのは演技だってことがな」
「な、なに!?」
「遊旗、それって……」
「やつはアリスを利用して、守備モンスターの守備力が高いと思わせようと誘導したのさ。じゃなきゃ、あんなうかつなことを言う訳がない。つまり、やつが伏せたのは守備力の低いモンスター! つーわけで、アレキサンドライドラゴンで攻撃!」
「伏せモンスターは『ドラコニアの海竜騎兵』守備力2100」
「恥ずかしいーっ!! ぐはぁっ!!」

 遊旗は100の反射ダメージを受ける。軽微なダメージだったが、それよりも精神ダメージが大きかった。

「うぅ……こんな恥ずかしいのは人生ではじめてだ」
「思考の迷宮に捕われたな。勝利に必要な情報を見極められないようでは、真の決闘者にはなれない」
「ちくしょぉぉぉっ!!」
「なにこれ」
「俺は、カードを伏せてターンエンドだ!」
「『閃光の騎士』を召喚。そして、装備魔法『団結の力』発動ぉ!!」

 閃光の騎士は攻撃力1800。遊旗のあれには及ばないが、その全身に力がみなぎっていく。

「団結の力は装備モンスターの攻撃力を、自分の場のモンスター1体につき800上げるカード。これで閃光の騎士の攻撃力は3400まで上がって、遊旗のモンスターの攻撃力を上回った。さっきの防御がこの攻撃を強化した、まさに攻防一体の戦術!! すごいです新海さん!!」
「うるせぇ!!」
「えぇー!? 本日二度目!!」
「これで貴様のザコなど恐れるに足らず! 行け、アレキサンドライドラゴンを攻撃しろ!!」

 ビカビカの光がフィーバーし、大地を砕き、ドラゴンへ向かって行く。しかしその光を吹き飛ばすように、竜巻が吹き荒れる。

「俺のモンスターはザコなんかじゃないぜ。タイマンなら負けはしない。だからこのカードで、お前のモンスターの絆を断ち切る! リバースカードオープン『サイクロン』!! 団結の力を破壊する!!」
「ほう」

 竜巻が光を切り裂く。開けたその先、力を失った騎士に、眩い輝きの竜の伊吹が迫る。

「団結の力がなくなったことで攻撃力は逆転した。迎え撃て、シャイニングファイアー!!」

 光の炎が、騎士を破壊する。光の炎ってなんだよと思われるかと思うがそれは光の炎としか言いようがなかった。閃光の騎士は破壊され、新海のライフは3800になる。

「よっしぁ! 決まったぜ!」
「やってくれたなぁ……!」
「サイクロンは伏せられてるカードも破壊できる。なのに前までのターンで使わなかったのは、装備魔法による強化を読んでいたから。単体での攻撃なら負けはしない、だから敵のコンボを破壊する術を温存する。遊旗のそんな考えが良い方に転がったんだね」
「アリス……好きだ」
「は、はぁっ!!?」

 観客がざわつく。しかし一番ざわついていたのはアリスガールのマインドなのデース。

「い、いきなりどうしたの!? 唐突すぎない!?」
「唐突だっていいだろ。オゾンより下なら問題ないぜ。俺はお前の、雰囲気に流されないとことか、常識があるとことか、ツッコミ役が似合ってるとことかが、すごく好きなんだ」
「ごめん、好きな人に好きって言われてるのになぜか全然響かない」
「クソぉっ! こうなったら……お前のおっぱ」
「自主規制サンダー!!」
「ぎゃぁぁぁぁっ!!」

 決闘盤から流れる電流で、遊旗がガイコツになる。厳密に言えば電流が流れると一瞬ガイコツのように見えるあれである。

「な、なんだぁこの電流!?」
「俺の決闘盤から流した。100ダメージ分電流が溜まってたからな」
「ムカつくぜてめぇ! なんで俺に気持ちよくラブコメさせねぇんだ! 俺はただただアリスを見ていたいんだよぉっ!」
「デュエル中だろうがぁ! くそっ、シルバー……」
「シルバー?」
「俺の召使いだった女だ。俺の唯一の遊び相手でもあった。だが臨海の死と同時になぜか姿を消し、それからの行方は謎だ」
「……そうか。よかったら俺も探すの手伝うよ。なんてったって本職だ。きっと役に立てる」

 新海はハッと遊旗を見つめる。目を潤ませ、口を一文字に結び、そして。

「……ありがとう。お前は優しいな」
「セキュリティーなら誰だってこう言うさ」
「そうか……ふっ、だが、今の俺たちにはまだやるべきことが残っている!」
「あぁ! 行くぜ、俺のターン!!」

 すごい無理やり良いムードにしたな。そう心の中で呟いたアリスをよそに、話は今度こそ次回へ続くのであった。
 

 

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